「……嫌だね」
俺がそう言うと本当に驚いているのか目を見開かせ俯かせていた面を俺に向けた。
「どうして!?君は美央が好きなんだろ?邪魔者がいなくなるんだから美央の側にいればいいだろ?」
食い入るように言い返したこいつは初めから俺にそうしてほしかったらしい。
お前は言ってる事とやってることが違うんだよ……
「じゃあお前はどうしてそんな苦しそうな顔すんだよ」
俺は人の気持ちを汲み取るのが得意じゃない。そもそも人の気持ちが他人にわかるわけない。だけど今こいつの気持ちならわかる気がする。
「……っ」
苦しそうに何かを我慢するような顔を見せるこいつはどう見ても美央を離したくないように見える。
「お前は好きなんだろ?美央の事がだったらちゃんと最後までいろよ、美央と最後までいるのがお前の今の望みじゃないのか?」
恋敵のはずなのに俺はなんで応援してんだよ……
俺も言ってる事とやってる事違うな……
自分の行動に呆れつつもこいつの背中を押してしまう。



