「美央の事を最後まで見てあげてほしい」
まるで親のような事を言う四季に俺は驚きを隠せなかった。
どういう事だ?
「……美央は前、自殺しようとした事があったんだ……」
は?美央が死のうとした?どうして?美央はそんな事するやつじゃなかったのに……
「何も知らなかったみたいだね」
やっぱり伝えて良かったという安堵と緊張感あるため息を溢した四季。
その様子を見て美央は本当に死のうとしたんだろうとわかった。
「それを今なんで言った?」
美央は今生きている。だからそんな事言わなくても良いはずだ。ただ単にこいつが僕の方が美央の事知ってるからなんて事を言う為じゃないっていう事くらいわかる。
「さっきも言ったけど美央の事を見ていてほしい。僕は最後まで彼女を見る事はできないから」
こいつ、なんでも唐突だな……
「それはどういう事だよ」
俺は美央の事が好きだ。だから四季が見る事ができないと知って本当は喜ぶ所なのだろうが、美央が慕っている人間。俺から見ても悪い奴じゃない事くらいわかっている。
四季は俯いてしまい表情を読み取る事はできなかった。
なんだよ、せっかく海まで行って勝負したのに。
「僕は犬堂家に戻る事になっちゃって美央と最後を迎える事はできないんだ。だから君にお願いしたい」



