会場の中に入ると既に多くの人で賑わっていた。
すごい人だなぁ……
私は毎年来ていたけど今年が一番賑わっている気がする。
毎年、お母さんとお父さんと来ていたから……ってそんな事今は関係ないか。
寂しくなりそうな気持ちをなんとか押し殺し奏太のリードに意識を向ける。
「じゃあまずは自分の好きな食べ物食おうぜ」
目を輝かせ何を食べようか考えている奏太。
まるで今日の目的は絶対それでしょとわかるような反応だった。
まぁでも私も四季さんも夜ご飯は食べてきてないから屋台の物を食べる気満々だったけど……多分凛音ちゃんもだと思う。
ぴょんぴょん跳ね上がりそうなほどはしゃぐ奏太をよそにみんなが食べたい物を考えていた。
私はかき氷食べたいな……
夏の終わりだが、まだまだ蒸し暑い。
だからやっぱり冷たい物を欲してしまう。
「じゃあ一旦自由行動な!」
食べたい衝動が抑えられないのかそれだけ言うと奏太は走り出してしまった。
どこかいっちゃった……あはは
そういえば奏太はこういう人だったなと昔の事を振り返っていると凛音ちゃんもふらふらとどこかに行ってしまった。
まぁいっか?
「四季さんはどうするんですか?」
「僕は美央に着いていくよ?」
「自分の食べたい物はいいんですか?」
「うんっ今は少しでも長く美央といたいから」
「そうですか……えっ」
あまりにもスムーズに言うから聞き流してしまいそうになったが、「さっき少しでも長くいたい」って言った?
そ、それはどういう意味!?
意味はわからなかったが、さっきの言葉を聞き私の心臓はバクバクと音を立てていた。



