「僕出てくるね」



「ありがとうございます」



「この映画は何度も見たから〜」と言いながら玄関へと向かった四季さん。



多分四季さんはストーリーの流れまでわかってるんだろうなーと心の中で思いながら映画の続きを楽しんだ。




「お前っなんで来た?」



いきなりだった。結構大きめの音で映画を楽しんでいたにも関わらずはっきりと四季さんの声が聞こえてきた。




どうしたんだろう?四季さんが声を荒げるなんて……




たまにブラック四季さんを目にする事はあるけど怒鳴ったりする事は今まで一度もなかった。




「どうしたんですか?」



四季さんが声を荒げるのは相当な事があったのだろう。気になって心配になったからつい玄関を覗いてしまった。



「君か、四季をたぶらかしている女とは」




玄関に出るとそこには大柄の男の人が立っていた。



誰だろう?四季さんの友達?それにしてはなんだか歳が離れている気がするし……



少し強面の顔面に大柄の体。冷静に見なければヤクザの人と勘違いしてもおかしくない外見をしている人。




なんか、四季さんに似ている気がするのは気のせい?



私が一人考えていると相手の気に障ったのか「おい」とドスの聞いた声で諭されてしまう。



「は、はひっ」



突然話しかけられ声が裏返ってしまった。



「君かと尋ねているんだ、君が四季をたぶらかしたのかと」



たぶらかした?どういう事?私には全く身に覚えがない。



訳がわからずきょとんとしていると今度は四季さんが強面の男に怒鳴りつけた。