余命宣告を受けた地球の中で私達は恋をした。


「お前それズルだろっ」



「んな訳あるか」



目の前のガミガミ怒りながら戦っている二人の姿を横目で見ながら凛音ちゃんと話をする。



登下校中にも話せるがそれだけじゃ足りないから。



「ねぇ見て、まだ全然明るいのに月が見えるよ」



パラソルが覆いきれない空から姿をのぞかせる月がまるで私達を見ているかのようだった。



「そうだね、まさかあの綺麗な月が私達の人生を終わらせるなんてね」



初めはありえない話だと思った。だけど時間が経つたびに人々は死の恐怖を鮮明に感じていっていた。



「でも私は思うんだよねっ」



少し重くなった空気を無理矢理壊すかのように少し高めの明るい声で言った凛音ちゃん。




「人類の始まりがあるなら必ずいつか終わりもくる。だけど、地球がなくなったって宇宙がなくなるわけじゃない」



凛音ちゃんは私の方を見てにっこり笑いながら優しい顔をする。



「だから宇宙がある限りまたどこかの星で人類が誕生して文明が栄えるんじゃないかって」



「……っ」



その通りだと思った。何かの奇跡で生まれた人類はどうにかしてここまで栄えてきた。それなら滅亡してもまたいつか今のような世の中になるのだろう。




「きっとそうだよっ今終わってもまたいつかきっと栄えるはずだよっ」




まだ中学一年生なのにここまで考えてたんだなぁ



凛音ちゃんだからこの考えができるのかもしれないなと感心しつつ視線を月に戻す。




いつ見ても"綺麗な月"–––。