「君、死んじゃうの?」
誰……?
こんな夜に人がいるとは思っておらず、ましてや自殺を止められるとは考えもしなかった。
びっくりして後ろを振り向くと私よりも何十センチも高い身長の男の人が立っていた。
辺りは暗くて顔がよく見えない。
だけど怖い感じじゃなくて優しそうなオーラを纏っている人。
「誰?」
知り合いじゃないよね?
私がそう言うと自分に興味を持ってくれたと思ったのか嬉しそうに口角を上げ私の所に近づいてくる。
そのおかげで顔がはっきりとわかった。
ものすごく綺麗な切れ長の目。
透き通っているように見える肌。
それに加えて高身長のスタイル抜群。
もしかしたらモデルさんなのではないか?と本気で思ってしまいそうな人。
「僕?僕は君と最後の一年を共にする者なのだよ!」
……え?
綺麗な目を細めて笑う彼に恐怖さえ覚える。
自己紹介?はしてもらったけど全く訳の分からない答えが返って来てハテナが私の頭の中を埋め尽くした。
「えっと、私の知り合いの方ですか?」
とにかく何か喋らないとと思いそんな質問をしてしまう。
「まぁそんな所」
私会った事あったかな?と思ったがすぐに自分のやる事を思い出す。
「あのっ今すぐ帰ってくれませんか?私今からここでやらないといけない事があるんです」
今日死ぬと決めて来ているんだから邪魔されるのは嫌だった。
「……自殺しないといけないから?」
「えっ?」
どうしてこの人が知っているの?
初めは明るい声だったのにさっきよりワントーン低くなった声にびくりと肩が跳ね上がった。
「死にたいから僕に帰れって?」
どんどん声が低くなっていく目の前の男の人に背筋にゾクリッと悪寒が走った。
何、この人さっきと全然違う……っ



