余命宣告を受けた地球の中で私達は恋をした。


「えー校長の佐藤です。みなさんご卒業おめでとうございます。えー今回は……」



卒業式が始まる。



今年はやけに体育館が暑苦しい。



なんてったってもう終わるから。何もかも。だからここに通う生徒全員が卒業式に参加する事になった。



つまり一年生から三年生まで全員が今日ここで卒業するという事。



こんなの前代未聞だが、月が落ちてくるという次点で前代未聞などどうって事ない。



「これで終わります……」



校長がステージ台で会釈をし降りていく。



その目に涙が滲んでいるように見えた。



校長以外にも号泣している先生や保護者など勿論、生徒も涙ぐんでいた。



本当だったらここで私も泣くのだろう。一年生すら泣いているのだから。



だけど涙が浮かんでこなかった。



頭の中は四季さんの事でいっぱいで卒業するという事に浸る余裕もなかった。



「それではみなさん、残りの人生悔いのないように生きてくださいっ」



司会進行の人のその言葉で式は締めくくられた。