「じゃあ僕と賭けをしよう」



死んでもいいかと思った。だけど僕には死ぬ勇気なんてどこかに落としてきた。



だから運命に任せようと思った。



自分で選択するには重すぎる選択だから。



僕は彼女から目を外す事なく自分も柵を越える。



賭けって言っちゃったからな……あれしかないか。



「賭け?」



「そうっ!」



一か八かの賭けだけどね。



「僕達が生きていたら僕と一緒に暮らす事。もし僕達が死んだら、一緒に生涯の幕を下そう……」



それだけ言うと彼女の意見も聞かずに手を引いて飛び降りた。



彼女は一瞬驚いた表情をしたが、やっと死ねるとでも言うように目を固く閉じた。



このまま、死んでもいいかもしれないなぁ……



落ちている時は妙にゆっくりに感じられ走馬灯らしきものも見えるようになった。



あれっこういうのって戦って死にそうな時じゃなかったっけ?



そう思ったが僕の中で流れる記憶は止まらなかった。