彼女はポカンとしている様子だった。



「えっと、私の知り合いの方ですか?」



「まぁそんな所」



「あのっ今すぐ帰ってくれませんか?私今からやらないといけない事があるんです」



今日死ぬと決めてここにきているんだろうな……



食い入るように言葉を繋ぐ彼女は本当に苦しそうだった。



「自殺しないといけないから?」




「えっ?」



命が関わっているんだ僕が言える事じゃないけどそんな事はやめといたら?と言ってあげたい。



この気持ちが届くように口を開く。もしかしたら声が低くなってしまったかもしれないが。



「死にたいから僕に帰れって?」



「そ、そうです」



否定する素振りも見せなかった。



「そっか」



彼女はもう死ぬって言う気持ちが変わる事はないのかもしれないな。



自分に何かできる事があるかも?と思ってきたのにこれじゃいてもいなくても変わらないな。



そう思うと潮笑が溢れる。