「じゃあ俺そろそろ帰るな」



それから恋とやらを語っていると六時をまわっていた。



「うんっ今日はありがとね!」



玄関先で奏太にお礼を言い、軽く会釈をする。



「じゃあな」



そう言って家を出て行った奏太の背中はどこか寂しそうに見えた。




どうしたんだろう奏太……


 
私は知らなかった。さっきの恋バナが奏太の心を苦しめていたなんて–––。