「好き、なのかな……?」



私は自分で確かめるように呟く。



今までそんな事考えもしなかった……



「気づいたら好きになってるなんて珍しい事じゃねぇーよ」



まるでその筋の専門家かと疑いたくなるほど奏太の言葉には説得力があった。



もっと早くに気づく事ができたら海もお祭りももっと違う気持ちを持って行けていたんだろうか?



着々と私達の死が近づく中、こんな後に大事な気持ちを知る事になるなんて考えてもみなかった。



「ありがとう、私の気持ちに気づかせてくれて」



私は精一杯この気持ちが伝わるように最大限の笑顔を作りお礼を言う。




「……っうん、良かったな気づけて」



なんだか一瞬苦しそうに顔を歪めたのは私の気のせいだろうか?



違和感を覚えたがすぐに笑顔に戻った奏太を見て私の勘違いだと思う事にした。