私たちの恋風は、春を告げる




「…何ひとりで変顔してんだよ。気持ち悪りぃな」

冬紀の声がして、私ははっと我にかえる。

「し、失礼なっ!ちょっと考えごとしてただけだもん」

ムッとした私は、ぷいっと冬紀から顔を背ける。

「…何考えてたんだよ」

しばらく沈黙が流れた後、冬紀が口を開いた。

「………え」

何考えてた……って…

まさか、冬紀のことですなんて、言えるわけないし。

「な、内緒っ!」

私は相変わらず冬紀の方を見ないまま、そう答えた。