✳︎✴︎ 私は、ずっと終わりの見えない暗闇を歩き続けていた。 自分が誰で、今どこにいるのかもわからない。 と、何かの匂いが花をくすぐる。 どこか懐かしい、花の匂いがした。 微かに頬に当たる風が、花の匂いをまとっている。 …ああ、そうだ。 この匂い……春の匂いだ。 ……茉、………咲茉…… 誰かの呼ぶ声がする。 この声、誰だっけ… 私、誰だっけ… 頭がぼんやりしてよく思い出せない。 重い意識を放り出して、また永遠に続く暗闇を歩き出そうとした時… "咲茉" また、私を呼ぶ声がした。