私たちの恋風は、春を告げる


今ならなんでもできそうな気がした。

高いところは苦手なはずなのに、怖さなんてちっとも感じなかった。

震える足で、車椅子から立ち上がる。

そのまま、目の前にあるフェンスにつかまった。

フェンスに足を掛けようとした時ーーー

「咲茉!」

聞き慣れた声が響いた。

私は動きを止めてゆっくりと声のした方を見る。

肩で息をしている、冬紀だった。

「お前、何してんだよ!」

珍しく声を荒げる冬紀は、強引に私の腕を引いた。