私たちの恋風は、春を告げる



「咲茉、今日も見てたわよー」

「…見てた?何を?」

「とぼけても無駄無駄!さっき片岡と歩いてきてるの、私ちゃんと見てたんだから」

美波はにやりとどこか満足そうな笑みを浮かべている。

「ああ、そんなこと?」

「そんなこと…って、もっと言うことないの!?」

「え?だっていつものことだし…」

家がすごく近いわけじゃないけど、帰る方向は同じだから小学校の時から登下校はずっと一緒だった。