水族館に入ると、水槽を泳ぐ魚たちを見て、




「美味しそう…。」





と、迅が言ったので、軽く頭を小突いた。




「ごめんって。」




と、吹き出す彼のその表情は、私にしか見せない笑顔。








ゆらゆらと泳ぐ魚は、迅みたいに自由だった。




「どうして水族館に?」




私が聞くと、




「なんとなく。」




と、彼から返事が返ってくる。




『なんとなく』は、迅の口癖だ。




本当に、マイペースな人だ。




それなのにどうしていつも私を巻き込むのだろうか。