私たちは小学校から同じだった。




迅はおとなしい少年だったので、よく嫌がらせに遭っていた。




そのたびに私は迅を助けていたけれど、結局は彼を助けるためじゃない。




彼を助けている「自分」に自惚れていたからだ。




それでも迅はよく私に「紗季(さき)ちゃん、ありがとう。」と、言ってくれた。




それだけで、私は大満足だった。




なんとなく、何もできない小さな自分が彼を助けることで感謝される、認めてもらえることが嬉しくて。




でも、いつの間にか迅を守っている私にも矛先が向いていた。




と言うよりは、『孤立していた』という方が正しいかもしれない。




迅のように嫌がらせは受けていなかったけれど、クラス中から冷めた目で見られた。




迅は何も悪くないのに、孤立した原因は迅だと、少しだけ恨んでいた。




そして、そんな自分が嫌いだった。







だけど、彼を守ることはやめなかった。




迅はきっと、このクラスで唯一、私を必要としてくれていたから。

















そして私は、その快感に溺れていたから。

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