恋と首輪



それから3ヶ月。
何事もなく時は過ぎて、肌寒い季節に入っていた。

主人は相変わらず仕事で忙しそうで、でも気を遣ってか週に一回はデートの約束をする。

時には主人の家でまったりしたり、時には遊園地に行ったり。

私が寂しくないように、時間を割いてくれる主人は、とてもいい彼氏だと思う。

でも今日も主人は学校に来てない。
学校が終わって、1人で帰ろうとしている時、見覚えのある車が私の目の前で止まった。

「ん?南雲?」
「学校お疲れ様です、みゆ様。」
主人の家の車から降りてきたのは、紛れもなく南雲で、
いつものように深々と頭を下げる。

「なにしてんの?」
「蓮様がみゆ様をお呼びですので、車に乗ってください。」
「え、蓮が?」
なに、今日なんか約束あったっけ。
頭にハテナを浮かべながらも、車に乗り込む。

「…え、ここって…」
そこは前、私が主人に連れられてきたパーティーの会場。
大きい建物と煌びやかな装飾。

……まさか。

「ねえ、またパーティー?!」
「はい、そうです。」

…やっぱり。

前も直前でネタバラシされて、されるがままに化粧してもらったっけ。

「ねえ、蓮は?どこにいるの?」
「蓮様は主催者ですので、もう会場にいらっしゃるかと。」

蓮が主催者…?
じゃあこの前みたいな、別の財閥からの招待客じゃないってことか…。
南雲が、長い足で歩く道のり。

流石に、覚えてる。

「みゆ様、ここで…
「はいはい、ヘアメイクと着替えでしょ?」
「はは、さすがですね。」
中に入ると、この前と同じヘアメイクのお姉さんが立っていた。

「わあ〜、みゆ様!お久しぶりです!」
「あ、お久しぶりです、またお願いします…」
「ちょっと痩せました!?相変わらず肌綺麗〜」

ストレートに褒めてくれるお姉さんたちに戸惑いながらも、"私"は完成した。




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