「おお、こっわ、余裕ない彼氏は嫌われちゃうよ?」
「うっせ。てかお前、俺らのことつけてただろ?」
「はは、やっぱばれてる」
ぞくぞくしてしまうぐらい美しいその顔を歪ませて俺を睨みつける蓮。
ホテルでたまたま蓮を見つけて、駆け寄ろうとすると隣には女がいた。
あれが今のターゲットかな、そう思ったけど、直感的にそうではないと感じた。
蓮は、大切そうに女の肩を抱いて
今まで見たことのない優しい顔で笑ってたから。
おいおい、何ごとだよこれ。
女をただのゲームの道具としか思ってなかった蓮が、まさか…。
こんなの興味が出ないはずがない。
俺は、今から会う予定だった名前も知らない女にメッセージを入れて、蓮と女の後をつける。
海の前で、女を後ろから抱きしめる蓮。
はは、ベタ惚れじゃん。
あんなの俺の知ってる蓮じゃない。
と、思うと同時に蓮にそこまでさせた女が気になった。
顔はまあ可愛いけど、蓮が好きになる女にしては大人しすぎる気がする。
「みゆ、他に何もされてない?大丈夫だよな?」
「え、うん、携帯拾ってくれて、」
「失礼だなー、そんないきなり取って食ったりしないって」
「どの口が言ってんだよ」
もう、そうやって蓮がムキになればなるほど俺は後ろの彼女が気になっちゃうんだよ。
「みゆちゃんっていうんだ、よろしくね」

