「まだ怒ってるの?」
「……いっかいだけって言った」
ソファで体育座りする私を、後ろから抱きしめる主人。
「ごめん、止まんなかった」
「…信じらんない」
「大体、みゆが可愛いのがいけないんだよ?」
「…そう言ったら私が許すって思ってます?」
「バレた?でもほんとだし」
「許さないって言ったら?」
「土下座する」
「そんな簡単に土下座していいんですか?副社長」
「みゆが許してくれるならなんでもするよ」
「ふはっ、どんだけ私のこと好きなんですか」
「好きだよ、大好き」
結局怒ってたことなんてどうでもよくなるんだよな。
「だからこんなに俺のって跡つけたんでしょ?」
肩あたりにつけられたキスマークに、もう一度軽く口付ける主人。
「もうこんな目立つとこに付けないでって言ってるじゃないですか…この前だってお兄ちゃんにバレて超めんどくさかったのに。」
「あ、俺にもLINE来た。避妊しないとぶっ殺すって。すっげー怖かった。」
怖かったって言ってる割には笑ってるけど。
てかいつの間にLINE交換してたんだ…。
「…でも、悪くはないですけど、これ見たら蓮のこと思い出せるし…」
「それ、誘ってる?」
「…は!?どこが?!!」
「…はぁ、ほんと罪…」と呟いて私の肩に顔を置く。
それがなんか可愛くて、おでこにちゅ、とキスをした。
「なんでおでこ」
「…え、」
「場所違うでしょ?」
首を傾げて熱っぽい視線を送ってくる主人に、私は負けて唇を重ねる。
"ちゅ"
「ん、正解」
そう言って満足そうに笑う主人に私はきっと勝てない。

