「そんな可愛い顔して怒ってたの?」
「……ッ、」
主人のペースに乗せられる。
いつもこうだ。
いつもこうやって主人は私をかき乱す。
「俺のこと何でムカつくんだっけ?」
「……すき、だから」
「聞こえないな、もっかい」
「…ッ、好きだから!!」
「ふっ、満点」
その瞬間、主人の顔が近づいてきて唇が重なる。
「…んっ、…ふっ、」
息が苦しくて、クラクラする。
立っていられなくなって、咄嗟に主人の腕を掴んだ。
「気持ちよかった?」
「……ッ、」
耳元でそう囁くから、言葉にならない声が出た。
「こっち来て」私の手を引っ張って主人は大きな革のソファに座る。
その上に馬乗りになるように私を座らせた。
「ねえ、抱いていい?」
改まったその言葉に、一瞬思考が止まる。
「…は!?!ここで!?」
「俺もう無理、だって1週間みゆ我慢してたんだよ?」
いや、会わなかったのは蓮のせいじゃん、と思いながらも口を紡ぐ。
「そんな時に、あんなえろい顔した彼女見せられて興奮しない方がおかしい」
ちゅ、と音を立ててキスを落とす。
「…だ、だからって、誰か入ってきたら…」
「大丈夫、鍵閉めた」
いつの間に…。
ほんとそうゆうことは抜かりないな…。
「あっちからこの中見えないし、この部屋防音だよ」
"ちゅ" また、リップ音だけが響く。
しかも、スーツのネクタイを緩める仕草が、妙に色っぽい。
「可愛い声出しても大丈夫」
だめだ、こんなの。ってわかってるのに、
「……いっかい、だけなら」
体は言うことを聞かない。
主人は、私の頭を引き寄せて、また深いキスをする。
「職場って、なんかえろいね」
「……ッ、」
「いけないことしてる気分」
……そんなことわかってる。
ああ、また頭クラクラする。
そして私は蓮に身体を預けた。

