東雲蓮
今俺の前に座ってる男は、日本トップクラスの大財閥の御曹司にして、俺の妹の好きな人。
パーティーで何回か会った時には感じなかったけど、想像よりもずっと真っ直ぐな男らしい。
端正な綺麗な顔を少しも変えることなく、怖気付かない凛とした態度は、きっと小さい頃から社交界で培ってきたものなんだろう。
「わかってます」
「ふっ、頼もしいな」
こいつほんとに年下か?と思わせるほどのこのオーラは何なんだろう。
「みゆのこと、よろしくな。蓮くん」
期待してるよ
完全に閉じていたみゆの心の扉を
またこじ開けてくれた君に。
「はい、蒼司様。ありがとうございます」
「なんかすごい他人行儀だね。この際だから特別に兄さんって呼んでもいいよ。」
「え、まじっすか」
「うん、あ、別に君のこと百パー認めたわけじゃないから勘違いしないでね」
蓮君は少し笑う。
「蒼司兄さんって、すげえいい人ですね」
「…初めて言われた」
今の会話に俺いい人要素あった?
むしろやな奴じゃない?
変なの。
「蓮君は、少し変だよね。」
「ふは、よく言われます」
でも別に、そうゆう人嫌いじゃないけど。
「あ、そうだ。みゆが来る前にいいこと教えてあげる。」

