恋と首輪



「さあ、男同士の話しよっか?蓮君」
みゆが、部屋を出た後空気が変わる。

蒼司さんは、いつものパーティーで会う時のような冷たい目線になった。

「やっぱり、そっちがほんとなんですね」
「はは、まあみゆの前だけはいいお兄ちゃんでいたいからね」
今までとは違う何か含みを持った笑みを浮かべる。

「まずはごめんね、婚約のこと。びっくりしたでしょ?」
「まあ、びっくりはしました…」
「俺もさ最初は止めたんだよ、いくら会社のためとはいえ今時、婚約なんて。みゆには自分が選んだ好きな人と結ばれて欲しかったから。」

声の優しさから、本当にみゆのことが大事なんだとわかる。

「だから最初は君とのことも反対だったし、うまく行くはずないって思ってた。でも、君と関わるようになってからみゆは変わった気がするんだ。母さんが亡くなってから、何をするにもどこか寂しそうだったけど、今は笑顔が増えた」
「……ッ、」
「日に日に変わっていくみゆを見て、認めざるを得なくなったよ、悔しいけど。」

蒼司さんの綺麗な目が、俺を捉える。

「だから1個だけ確認したいことがあるんだけど、最終的にみゆとのことどう考えてるの?」
「……俺は…、」

そうだ、そうだよな。
いつまでも先延ばしにしてはいられない。
俺はどこか目を背けてたのかもしれない。
俺とみゆとの将来を。

「その顔じゃまだ心が決まってないってとこかな?」
「……すみません、」
「いや、急かしてるわけじゃないんだけどさ、君の将来を決めるのは君なんだし。」

一気に現実を叩きつけられた気分だ。

「だけど、中途半端のまま、俺の妹を傷つけるようなことしたらその時は許さないよ」