恋と首輪



優しい主人のその言葉に、なぜだか泣きそうになった。


「…じゃあ、もうモテないで」
「わかった」
「ほんとにわかってます?」
「うん、みゆの名前付きの首輪でもつけとけばいい?」
「ふっ、それいいかも」
ワンちゃんみたいな主人を想像したら笑ってしまった。

「でもみゆちゃんがこうやって嫉妬してくれるの死ぬほど可愛いからモテるのやめらんないかも」
「……帰ります。」
「はは、嘘嘘、ごめんって」
「…なんでそんな余裕なんですか」

そりゃあ、恋愛とかほぼしたことない私に比べたら、経験値は上だろうけど、でも少し、悔しい。

「みゆには余裕あるように見えてるんだ」
「…かなり」

「必死に隠してるだけだよ、余裕ないの」
あ、照れてる時の顔。
主人もこんな風に思ってるんだって思うと、安心した。

「でも、もう隠すのやめる」
「……え?」

「ねえ今日、帰したくないんだけど、だめ?」

そんな風に、そんな顔で言われたら
「……だめ、じゃない」
こう言うしかないじゃんか。

こう言う私を見て、主人は少し笑った。

「俺ん家行こっか?」