「なあ南雲。」
「蓮様、どうしましたか。」
「俺みゆからすっげー避けられてるよね?俺のこと呼び捨てで呼ぶのそんな嫌なのか?しゃべんないって自分で言ったけど、俺の方が限界来そうなんだけど。もういいよって謝ろうかな、ねえ、どうしよう。」
「いや、きっと大丈夫だと思いますよ」
「え、それどうゆう…"ピロンッ"
あ、みゆからだ!屋上来てって!」
「よかったですね。」
「おう!南雲ありがと!」
「行ってらっしゃいませ」
「何で俺2人の恋愛相談窓口みたいになってるんだろう…」
南雲は一人部屋で呟いた。
(ガチャッ)
「みゆ?」
息を切らして、こっちに駆け寄る。
久しぶりに見た主人は、なんだか元気がないように見えた。
「あ、あの…この前は、ごめんなさい。いきなりで、戸惑っちゃって、色々考えて、」
「うん」
「…やっぱり、れ、蓮…と会えないのは、辛い…と思いました」
今どんな顔をしてるだろう。
と見てみた主人の顔は、赤く染まっている気がした。
「あー、もう」
その言葉と同時に、手を引いて抱きしめられる。
「すっげーぎこちなかったけど、やっぱそっちがいい」
久しぶりの主人の胸の中は、暖かい。
「俺もごめん。ちょっと言いすぎた、俺から言ったくせにもうしゃべれなかったらどうしよう、とか嫌われたかもとか、まじで生きた心地しなかった、だせーけど」
「嫌いになるわけ、ないじゃないですか」
主人は私のおでこに1つキスを落とす。
「俺、すげー余裕ねーのかも。」
ああ、鼓動止まれ…。
こんなドキドキしてちゃ、主人に伝わってしまいそうだ。
「ね、もっかい言って?」
「……れ、ん」
「もっかい」
「…蓮……」
「あ、今のいい。もっかい。」
「……蓮……」
「おお、もっかい。」
「もう!何回言わせるんですか!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし。」
「…減ります!ごっそり!」
「ふ、なんだそれ」
ああ、この感じ久しぶりだ。また、主人と笑ってる。
「ねえ、次は敬語直していこっか」
「……無理です」
「ふは、すっげーデジャブ」
「もうタメ語で話すまでしゃべらないって言わないんですか?」
「もーいい。俺が耐えられない。」
雲ひとつない青空の中、
空いた2日間を埋めるように、
私たちは、時間も忘れて抱き合っていた。

