恋と首輪

「大丈夫?」
「…えっ…あ、はい…」
あの後、ボーッとしていたみゆに声をかける。
さっきの俺が、優しくできるはずもなく、

少し無理させてしまったかもしれない。
冷静になったみゆは、今さら布団を取って体を隠した。

「そんな急いで隠さなくったって、もう全部見た」
「……ッ…///」
照れるみゆはすごく、いや、相当可愛い。
俺はその布団を剥ぎ取って、みゆを抱き寄せた。
触れた彼女の体は温かい。

「みゆ、俺にちょっと時間ちょうだい」
「え?」
「婚約の話」

そうだ。
急に言われて、すぐ答えを出さなきゃいけないみたいに混乱してたけど、
婚約は早くても高校卒業してからの話。
今すぐじゃない。

「もう少し、じっくり考えたいんだ。」
「…はい、もちろんです。急に言ってごめんなさい」
この決断には、俺の人生がかかってる。
こんな決断、今の俺にはできない。

だから、もし時間さえあれば、

「もう一度、本当のみゆと向き合ってみるよ」
嘘の君じゃなくて、
本当の君を、知れると思うんだ。