恋と首輪

2日前
城聖学園、東雲蓮の専用部屋にて。

「蓮様」
「んー?」
付き人であり、執事の南雲皇(なぐもこう)が俺に話しかける。若いのに親父に相当気に入られてる切れ者。俺も南雲には随分助けられてる。

「今回の首輪、月宮みゆについて調べさせました」
「お、早かったね。」
「あの、今回はまたどうゆうおつもりでしょうか」
「何が?」
「いや、前に比べたら、あまりにも普通すぎると思いまして。容姿も、家柄も。」
「そう?」

月宮みゆ。

しっかり調べ上げられた資料に目を通す。
確かに、俺が興味を持つ女にしては普通すぎる。

写真には柔らかく笑う月宮みゆの姿。

「こうゆう子の方が、楽しませてくれたりするんだよ」

彼女の存在を初めて知ったのは3ヶ月前。
この部屋からちょうど見える校庭の花壇に毎日水をあげている女がいた。

最初はまたあの女かくらいに思ってたけど、
なぜか、気になった。

「ねえ君、毎日やってて飽きないの?」
そして俺は花壇に水をやっている月宮みゆに話しかけた。

すると彼女は予想外の反応を見せた。
俺を見た瞬間顔がこわばり、すぐに目を逸らす。

「…別に、それでは」
その言葉だけ残すと、足早に去って行ったのだ。

なんだ、この反応…
その辺の女の反応とはまるで真逆な反応に単純に興味を持った。

あの日の彼女の震える体。
俺を見る濡れた怯える目。
忘れられない。

俺は、写真の月宮みゆに口付ける。

「蓮様のそのようなお姿、初めて見ました」
「ああ、俺もだよ」

何だろうね。
何がこんなにドキドキするんだろう。

月宮みゆ。君は不思議だね。
…俺をこんなにワクワクさせてくれる。