恋と首輪

パーティーから、1週間後。
呼び出しに、主人の部屋へ行くと、主人の表情は、とても明るかった。

「蓮様、何か良いことでもあったんですか?」
「やっぱりみゆにはバレるか」

当然だ。
毎日毎日、主人の顔色ばかり伺ってる私が、分からないわけがない。

「会社で、大きいプロジェクトをまた任されたんだ。」
「ほんとですか!?」
「うん、」

ニコニコ笑いながら、パソコンを触る主人。

「おめでとうございます、蓮様」

いつからだろう。
主人が嬉しそうなのが、私も嬉しくなったのは。


私のその言葉に、主人は私の方を向く。

「みゆのおかげでもあるんだよ、」
「…え?私、ですか?」
「うん。あの演奏のおかげで、先方が投資してくれたから、俺にまた任せてもらえるようになった。」
ニコッと、笑った主人は、私に近づいた。

「ありがとう、みゆがいてくれてよかった」
その言葉が、私の胸にぐっと、刺さる。
素直に、嬉しかった。こんな私が、主人の役に立てたことが。

主人は、私の頭を優しく撫でる。
「みゆ、頭撫でられるの好きでしょ?」
「……ッ…きらい、じゃないです」

主人はなんでこんなにも私を見透かしてしまうのだろう。

「ふはっ、今日は素直じゃん」
「いつも素直ですけど…」

「俺も好きだよ」
「……え?…」
その言葉に一瞬時が止まったように感じた。

「みゆの頭撫でるの」
「ああ、」
なんだ、びっくりした。
てっきり……

「みゆの頭ってまん丸してて撫でやすい」
「それ、褒めてます?」
いつもより主人の手が熱い気がするのは
気のせいだろうか。
「褒めてる褒めてる」笑いながらそう言う主人。

「私も……」
「ん?」
「……いや、なんでもないです」

なんとなく、言わなかった。
私も、本当はすごく……好きだって。