恋と首輪


なんで……。

「みゆちゃん?どうしたのそんなに固まっちゃって」

なんでこうなったの……。

(シャラン)
私の首にかけられた"それ"は、存在感を示すようにピカピカ光ってる。

「その首輪、そんなに嬉しいの?」

力が入らなくなって、床に座り込んだ私と、目線を合わせるようにしゃがんだ彼は、首にかけられた"それ"を手でもてあそぶ。

その彫刻のような美しい顔は、人間味を感じさせない。

……怖い。

「……どうして…ッ」

全身が震える私を、なだめるように彼は私の頭を撫でる。

「君が気に入ったからだよ」
「……えっ…?」


「今日から君は俺のものだ」


ーこの日私は、彼に"首輪"をつけられた。


私が通ってる城聖高校には、絶対的ルールがある。

「「「蓮様、おはようございます」」」

「んー、おはよ」

日本でトップクラスの東雲財閥のご子息、
"東雲蓮"が絶対的権力を持ってること。

誰も彼には逆らえない。
例えそれが、先生はもちろん学園長だとしても。

この学園が成り立ってるのは、全て東雲蓮の家のおかげだから。
もともと、金持ちの生徒ばっかが集まる学校だけど、東雲蓮の家に勝てる家柄の生徒は、もちろんいない。生徒も、それは暗黙の了解で。

そんな彼が、始めた制度。それが…

"首輪制度"

彼が気に入った生徒1人に首輪と言う名のネックレスがかけられる。
選ばれしその生徒は、授業料免除のうえ、財閥がバックについて、今後各自の家の安定が約束されてる。

その代価として、

首輪が外されるまで、東雲蓮の言いなり。奴隷になる。
もちろん、拒否権なんて…ない。

首輪をかけられたら、何としてでも彼に好かれる必要がある。

もし首輪を外されたら、無条件に退学になるから。これまで何度も首輪を外されて、退学になる人たちを見てきた。

結構大きい家柄の御令嬢やら、モデルまで。

どれだけ綺麗な子でも、容赦なく首輪を外してきた彼が、そもそも私を選んだことが理解ができない。

入学当初、この制度を知った瞬間、関わりたくない一心で、目立たないように生活してたのに…

どうして。
…いつから歯車が狂ったのだろうか。