廊下の隅にいた声の主は___、紅子ちゃんだった。
紅子ちゃんは、可愛い顔を怒りでゆがませ、ワナワナと身体を震わせている。
「じゃあさ__、あの結蘭ってコ、ちょっといじめちゃおうかぁ?」
側にいる友達らしき女の子が、片方のおくれ毛を指でいじりながらそう答えた。
すると、紅子ちゃんは深呼吸して、今度は落ち着いた態度で言う。
「そうしたいけど、蕗泉が黙っていないのは確か。だから__、蕗泉をトップの座からずり下ろす」
ドクン・・・、と心臓が嫌な音をたてた。
ヤンキー校で有名な“私立乱獅子”は、絶対的権力と地位の座を持ったトップには、逆らえないはず。
「どーやってやるの、紅子?」
「私にはね、たくさんの不良と繋がりがあるの。だから、一斉に蕗泉に攻撃__、喧嘩をしかける」

