この間まで、数枚の枯れ葉しか枝に残っていなかったのに__。
 すぐに4月は来た。




 ピンク色の木々が、風に吹かれて桜吹雪を舞い散らせている。
 ベッドから上半身だけ起きて、寝ぼけ眼を擦った。




 そして、ボロアパートで暮らしている自分の部屋から窓の外を見る私。
「わ~、綺麗っ!」




 一面桜の絨毯がしかれたように、道路は桃色で埋め着くされていた。
 もう既に、どこかの近所の小母さんが竹箒で、地面が見えるように桜を掃いている。




「うん! 私も早くしなきゃっ!」
 気合を入れる私は、六路 結蘭《ろくろ  ゆら》。




 今日から晴れて憧れの高校生になる、15歳です。