拳から恋








うやむやのままSが校内に戻ったことに、校舎の中では大きなどよめきが起こっていた。


何があったのか、理由は何かと階段の途中で何人も姿を見せるも、

そのことごとくを先頭を歩いていた風間くんが、視線の威圧だけで引っ込ませていく。



静かにSの教室へ入ると、風間くんと大月くんは真っ直ぐソファへ座り、入口で止まりかけたわたしを白鳥くんが連れて、二人の向かい側に座った。


「……地味に濡れたんだけど。タオルとかないっけか」


学ランを脱ぐ白鳥くんに、大月くんが首を振れば、ソファの肘掛けに学ランを放った。