拳から恋



「へへっ、やっぱ俺の思った通りの奴だ。いつも以上に力が発揮できるってもんよッ……!!」


向かいから走ってくる風間くんの勢いある拳を受け流し、わたしは次々に繰り出される技を避けていく。

風間くんの拳をつき出す速さを、耳元で聞こえる風切り音が物語っていた。


──こりゃなかなか。久々にこんな速度のパンチを受けるよッ。


一切反撃の手は出さず、避けているわたしは、少しずつ少しずつ……後退し、白線へと近付いていた。


「どうした花蔭っ避けてるだけじゃつまんねーぞ!!それとももう降参か!!」


容赦なく、わたしを追い詰めてくる風間くん。


──これでいい。