幽霊鬼ごっこ

私はそれに意見しようと思ったけれど、不意に周りの風景が変わった。
まばたきをしてみると、自分たちが学校の屋上にいることがわかった。

空はよく晴れていて雲ひとつない。
「放課後か……」
直人がポツリと呟いた。

自分たちが思っているよりも随分と時間が経過していたみたいだ。
屋上のフェンスからグラウンドを覗いてみても、そこには誰もいなかった。

一般の生徒からは私達が見えなくなり、私達からは他の生徒たちが見えなくなる。
その気配すら、感じられない学校はとても寒々しい。

ジッとグランドを見つめていると背後に寒気を感じて振り向いた。
いつの間にか音もなく森慎吾が現れている。

「今日も鬼ごっこをして遊ぼうよ」
無邪気な声。

森慎吾は本当にこの鬼ごっこを心から楽しんでいるように見える。
「今日もやってやろうじゃねぇか」