幽霊鬼ごっこ

男の子が鬼にボールを手渡す。
青鬼はそれを手のひらの中で転がして、珍しそうに眺めている。

「じゃあ、鬼ごっこスタート!」
男の子の掛け声と同時に青鬼がドリブルを開始した。

大きな手ではドリブルできないだろうと思っていたけれど、その動きは俊敏だった。

軽快にドリブルをしながらもこちらの様子を伺っている。
右手でドリブルをしながらこちらも鬼の動向を伺う。
どっちへ向けて逃げるかで運命が決まる。

「あっ、わっ」

ドリブルを開始した由紀だけどボールが安定しなくてあっちに行ったりこっちに行ったりしている。

このままじゃ鬼に捕まる前にボールが手から離れて失格になってしまいそうだ。

「落ち着いて由紀! 腰を落として重心を低くして! それからできるだけ顔を上げてドリブルして!」

私の助言に反応して由紀が体制を立て直す。