幽霊鬼ごっこ

私が言うと、脇田さんは水道の蛇口を止めてホースを置いた。
ホースの口からはまだチョロチョロと水が流れている。

「昔、この学校の生徒が亡くなったことってありましたか?」
その質問に脇田さんが一瞬顔をしかめた。

まさかこんな質問だとは思っていなかったんだろう。
軍手をはめたままの手で額の汗をぬぐい、険しい顔で私と信一を見た。

「ある程度歴史があれば、そういうことも起きる。ここができてからまだ24年じゃが、1度だけそういうことがあった」

私はゴクリと唾を飲み込んで脇田さんを見つめる。
「5年生だった男の子が亡くなったんだ」

「それ、その子の名前とかわかりませんか!?」
つい大きな声で質問すると脇田さんが驚いたように目を丸くした。

「あぁ、この学校に勤め始めて一番衝撃的な出来事だったから、ちゃんと覚えとるよ。でも、それを知って君らはなにをするつもりじゃ?」