幽霊鬼ごっこ

私がゴクリと唾を飲み込む。
「幽霊鬼ごっこって、聞いたことないか?」
直人からの質問に私は左右に首を振る。

信一も聞いたことがないみたいで、首を傾げている。
「放課後になると学校のどこかで鬼ごっこが始まるんだ。鬼ごっこの鬼は、この学校に留まっている幽霊で参加者は強制的に選ばれれるんだ。鬼ごっこに参加させられた生徒の姿は他の生徒からは見えなくなる。だから助けることができない。幽霊に捕まった生徒がどうなるのかは……わからないんだ」

ゾクリと背筋が寒くなった。
直人の話し方はとてもリアルで、今ふりむいたらその幽霊が立っているような気がして振り向くことができなかった。

「へぇ、結構怖い話だな」
信一が感心したように言う。

「そ、そうだね。幽霊と鬼ごっこするなんて、他の学校じゃ聞かない話だよね」
私は無理に微笑んで由紀から手を離した。