幽霊鬼ごっこ

「まず、俺たちは昨日の放課後由紀と一緒にここにいた。少し話をした後、バラバラに帰ったことにするんだ。その後由紀はいなくなった。だから俺たちはなにも知らない」

信一が昨日の出来事を隠すために嘘の出来事をメモ書きしていく。
仕方のないことだと思う反面、胸の奥がチクチクと痛む。

由紀のことを隠さないといけないことが、心苦しい。
「具体的な時間も決めた方がいいんじゃねぇか?」

「そうしよう。まずホームルームが終わったのが午後3時45分。それから15分間、ここにいたことにしよう」

信一がエンピツを走らせて行く。
私達は学校を出た4時10分以降、由紀の姿を見ていないことになった。

「裕美、今日なんか元気ないね? どうかしたの?」
友達の綾が声をかけてきたのはホームルームが始まる前のことだった。

「うん。今日は由紀が来てないから寂しくて」
そう返事をすると綾は目をパチクリさせて「由紀って誰?」と、聞いてきた。

「え? なに言ってるの綾。由紀は由紀だよ。同じクラスの」