幽霊鬼ごっこ

「幽霊鬼ごっこを経験したなんて言ってもきっと誰も信じてくれないだろうね」
「あぁ。だけど俺たちは本当に経験した。それに教室からの脱出も!」

「ねぇ直人、こういう経験をした人から噂が流れてきたんだよね?」
会話に参加してこない直人を振り向くと、直人は教室の中を見つめたままだった。

「直人、どうしたの?」
「……由紀は?」

その質問にハッと息を飲む。
鬼ごっこは終わった。

外にでることができた。
それに気を取られてしまって、鬼になった由紀のことを忘れていた。

「由紀!?」
慌てて教室へ戻って声をかける。
だけど中から反応はない。
机の下。

大きなロッカーの中を調べてみても誰もいない。
「由紀、どこに行ったんだ!?」
3人で学校中を探し回ったけれど、由紀の姿はどこにもなかったのだった。