男の子が動くとその場所には水が滴り落ちてシミになっていく。
私は全力で教室内を走り回っていた。

捕まれば地獄行き。
その言葉が脳内を駆け回っている。
「あははっあははっ」

時々聞こえてくる笑い声は男の子のものだ。

男の子の足は遅くもなく、早くもない。
だけどきっと本気を出せばもっと早く走れるんだと思う。

鬼ごっこを楽しむために、わざと力を抜いているのかもしれない。
机の合間を縫って走っていると椅子に足をひっかけてしまった。

「キャ!」
短く悲鳴を上げてその場に倒れ込む。
椅子も一緒に倒れてガタンッ! と大きな音が響いた。

すぐに立ち上がろうとするけれど椅子が邪魔してモタついてしまった。