幽霊鬼ごっこ

森慎吾の呟くような声が脳内に聞こえてくる。
あと10分逃げ切ることができるだろうか。

いや、それよりも今日はまだ誰も捕まっていない。
このままだと明日も信一がいない世界が来てしまう。

そう思うと逃げる足が鈍くなった。
信一に戻ってきてほしいという気持ちが強くなる。

「逃げて裕美!」
由紀の声にハッと我に返って再び全力で走り出した。

そうだ。
ここで私が鬼になったとしても、また明日同じように幽霊鬼ごっこが始まってしまう。

鬼でいる期間の記憶がなくなるのなら、きっと鬼のままでいた方が幸せだ。

自分が鬼になって仲間をい傷つけるかも知れないことを思えば、傷つけられた方がいい!

「あと5分だ」
森慎吾が呟く。

今回は感情が高ぶっているせいか、さっきからその声は震えていた。
「はぁ……はぁ!」