幽霊鬼ごっこ

「ひぃ……!」
喉に張り付いた悲鳴を上げて這いずって逃げる。
そんなゆっくりじゃ鬼から逃げることはできない。

すぐ真上に緑鬼の拳がある。
あれが振り下ろされたら、終わり……!!

「うぅ……信一……!!」
もう一歩も動けなくて涙で視界が歪む。
「おい! 森慎吾! お前、イジメられてたんだってな!!」

直人の叫び声が聞こえた途端に鬼の動きが止まった。
森慎吾が直人へ視線を向けたまま固まっている。

「今日お前の同級生だった人に聞いてきたんだ。お前、イジメられて死んだからその復習のためにこんなことしてんだろ! なんにも関係ねぇ俺たちを巻き込んで、それで満足かよ!?」

直人の声に気を取られて、緑鬼は完全に停止している。
私は地面を這いずってどうにか拳の下から脱出した。

フェンスに手をついて無理やり立ち上がり、少しでも鬼から遠ざかる。
「裕美、大丈夫?」