虹橋の先へ



「……参ったな。君はすぐ、僕のことなんか見透かしてしまうんだから」

「好きな人のことは、つい見ちゃうもの。当たり前だよ」


寝台に腰掛け、夫婦水入らずの語らい。
いけないとは思うのに、立ち去ることができなかった。


「……そうだね。僕はつい、あの子の中に昔の自分を見てしまうんだ。だから、期待しすぎてしまうし、正直、苛々してしまう」

「うん。でも、それはオーリーに対してじゃないでしょう?」


優しく受けとめ、それでいてより奥深くのものを探るように。
妻の声に苦笑しながら、ロイは肯定した。


「あの子の中に、昔のロイはいるけれど……けして、それはアルバートじゃない。それを誇らしいと思うし……そうだよ。僕は妬んでいるんだ。だって、ここにはまだ、僕の嫌いなアルバートが棲んでいるから」


やや荒く細い手首を握られ、ジェイダが小さく叫ぶ。
つられてこちらまで息を飲みそうになり、慌てて唇を押さえた。