お水を貰った帰り道。
ふと、ぼそぼそと男女の声が聞こえ、細く明かりが漏れているのに気がついた。
(……あ、なる、ほど)
ライリーが言っていたのは、お化けではなかった。つまり、そういうことだ。
「お疲れさま」
「……うん。君も。ありがとう、ジェイダ。僕らを守ってくれて」
家にいて、子供たちを守って。
それは、きっと怖かっただろうと思うのだ。
感情のまま走った、自分よりもずっと。
言われるまでもなく、ロイはそれを理解していてーー暗闇の中では、細い光がちょうど見えるくらい、抱き合った二人を照らしている。
これ以上、目に毒を浴びないようにこそこそと子供部屋へ戻ろうとしたところ、次のジェイダの言葉につい、そのまま立ち聞きしてしまう。
「……ねえ、ロイ。自覚しているでしょう?ロイ、ちょっとオーリーに厳しすぎるよ。オーリーはあの頃の私よりも年下なのに、ずっと頑張ってるわ。もう少し、伝えてもいいんじゃないかしら」
ーー本当は期待してて、言葉よりもずっと認めているって。



