ほろりと涙が落ちてきてしまいそうで、オーリーは天井を見上げた。
そう、誇りはもつべきだ。
こんなにも素晴らしいところへ、生まれてきたことに。
共にありたいと、その為にできることを探したいと思えることに。
たとえ、それにはまだ、自分は弱いのだとしても。
「いけませんな。歳を取ると、説教臭くなる。明日はハナ殿から飛んでくるでしょう。私はこれくらいにしておかねば」
「………そうでした」
お説教よりも、もう手伝いができなくなることの方が悲しい。
ほとぼりが冷めたら、いつかまたやってみたいものだ。
「泊まって行かれませんか?」
「ご冗談を。胃が痛くて堪らなかったのに、今度は胸焼けに悩まされる羽目になる」
ジェイダの申し出に笑い、デレクは息子夫婦の家を後にした。
「疲れたでしょ。君もゆっくり休んで」
泣いたりはしゃいだりで疲れたのか眠ってしまったビーを抱き上げ、先程はちょっと乱暴に捨てられていた人形を持たせてやりながらロイが言った。
「……無事でよかった。オーリー」



