「~~っっ、ロイ!!まったく、どれだけ私が心配したと!?それとも何ですかな、貴方は老いた私になお、若君と呼ばせたいのですかっっっ!!!!」
(………きーん……)
まさか、彼がいるとは思わなかった。
もちろん会えて嬉しいけれど、知っていたら耳栓をしてドアを開けたと思う。
「……いや、ちっとも。おじいちゃんが息子をそんな呼び方したら、教育上良くないでしょ。口調、戻ってるよ」
「記憶があの頃に戻ったんです!ジェイダ様に会う前の若君ときたら、そりゃあもう、じいを泣かせてばかりでしたぞ!まさか、忘れたとは言わないでしょうな。大体、貴方は冷静なようで無茶苦茶な……」
「懐かしいな。でも、そうですよ。お義父さんが様付けなんかしちゃだめです」
クスクスと笑いながら、まだ残った涙を拭い、ジェイダがデレクに紹介してくれた。
「……っ、これはオリヴィア様!?……揃いも揃って、いよいよ私の心臓を止めるおつもりか!?」
(……耳……耳が……)
「……いえ、まさか。私はお会いできて嬉しいです、デレク様。どうか、オーリーと。叔父様のお父様にそんなふうに呼ばれたら悲しいですもの」
くらくらするのをどうにか持ち堪える側で、ビーがキャッキャッと笑いながら祖父のもとへ駆けて行く。
(適応力……)



