「ロイ、オーリー……!!」
暫しの沈黙の後、ロイがようやく口を開けたと同時に車が止まる。
まだ開いていない扉を押し破るように突進してくる妻を愛しげに見つめ、ロイが車から降りた。
「ただいま。……大丈夫だよ、ジェイダ。大丈夫」
そっと撫で、包み、説かれる身体はひどく小さい。
(……そうよね)
何にも折れない強い人間などいない。
あるのは、必死に強くあろうと、時に折れても前を向こうとする心だけ。お姫様だって、きっと同じだったのだ。
「おかえり、オーリー」
唇をきゅっと結んだライリーの隣には、珍しく泣きべそを掻いた妹がいる。
思わず、ぎゅっと抱きしめると、ビーは持っていたお人形が地面に落ちるのも気にせず、泣きじゃくった。
「ただいま、ライリー、ビー」
ただいま、みんな。



