虹橋の先へ



そう、少なくとも今のところは。



「あーあ、つまらないな。ニールが大人になっちゃって。昔は、僕の後を付いて回って離れなかったのに。マロと一緒に追いかけてくるのは、本当に可愛かった」


帰りの車で、ロイがぼやいた。


「…………その一言で、驚きが納得に変わりました」


先程のあれ、いや、再会してからの、かなり甘いがちょっとだけピリッとするような強引さにずっと違和感があったのだけれど。


(叔父様の影響だわ、間違いなく)


幼い頃から親しかったのなら、何となく分かる。


「マロ?」


大きく頷いてから首を傾げた。
聞き覚えのない名前を尋ねたけれど、ロイは懐かしそうにどこかを見たきり、首を振って教えてくれない。


「……ライリーを庇ってくれてありがとう」

「……いいえ!!それは逆です。私はライリーを……皆を危険に晒した。あの場を抑え、あの森を、二国を守ったのはニール様です。私は……」


ここに来た当初、ロイに言われたとおりだ。
忠告を聞かずに、迷惑になることを承知のうえ、反面それをちっとも理解できていなかった。

ロイの愛する、果敢なお姫様とは真逆のーーお伽噺の世界でずっと守られてきただけのお姫様だ。