迎えの車をどうしたものかと、ロイは悩んだようだけれど、結局は彼がいつも使うような一般的なものにしたようだ。
「ごめん。ここからパレードするのは、ちょっとね」
「いえ。私もこの方が好きですから」
この家にあまり豪勢な車、ましてや王族が乗っていると一目で分かるような車が停まったのでは明らかにおかしい。
ここがロイとジェイダの住まいであることは知れているだろうから、恐らくそれだけでも彼は十分注意を払っているはず。
それに、やはりこの方が気楽だ。
「気をつけて」
「あ、ありがとうございます」
車に乗り込む一歩手前で、少し迷う素振りを見せた後ロイが手を貸してくれた。
正直に言うと意外だ。
他の女性ならともかく、自分にこんなことをしてくれるなんて。
「じゃあ、僕は後から向かう。本当に気をつけてよ」
「はい。私は一人でも大丈夫ですよ」
何もないとは思うが、あまり固まって動くのはよくない。
ロイはジェイダや子供たちといるべきだ。
「似合ってるよ、お姫様。きっと、ニールの側にいても」



