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「お姫様みたいだよ、オーリー」
正装に身を包んだオーリーを見上げ、ライリーが意地悪に言った。
「光栄だわ。分不相応な気がするけど」
そうしていると、お父さんそっくりだ。
当のお父さんは、こつんと軽く彼の頭を突いたきり。
それは逆に、同意だと言われているようで少しムッとしてしまう。
とはいえ、ライリーに言った言葉はけして皮肉でも自虐でもない。
こちらが本来の姿だったはずなのに、居間で皆にお披露目しても、鏡の中の自分を見ても、何だか落ち着かないのだ。
膝丈のスカートにエプロンが恋しい。
やはり、この格好をするにはまだ、自分は未熟すぎる気がする。
「よく似合うわ、オーリー。ニール様が息を飲むのが聞こえてきそう」
不安な顔をしていたのだろう、ジェイダが気を遣って声を掛けてくれた。
そういえば、さすがにドレスを着るのにロイを手伝わせるわけにもいかず。
結果、自分一人でも大丈夫と言ったのを聞かずに彼女は手伝ってくれたのだけれど。
(……確かに、叔父様に髪を切ってもらって正解だった)
ジェイダは控えめにいってもかなり、不器用だった。



